117国試の気になる新ワードをピックアップ!【基礎系・臨床系科目編】

国試対策

はじめて出題された注目ワードや出題のされ方を解説する「気になる新ワードをピックアップ!」、今回は「基礎系・臨床系科目編」です!

 

A43 THPの令和2年改正内容

THPの改正内容についてピンポイントで問われました!

令和2年4月に事業所における労働者の健康保持増進のための指針が改正されたことを受け、THPの見直しが行われました。従来のTHPの基本的な健康保持増進措置の内容は保持しつつ、事後の健康づくり活動につながるように以下のような改正がされました。

・ポピュレーションアプローチの視点(個人から集団への視点)を強化
・若年者からの運動習慣化
・PDCAに沿った実施
・産業医などの配置は必須とせず、事業所の必要に応じて手配または事業所外資源を活用
・医療保険者との連携

法改正があるものはその都度確認するようにしましょう。

 

A66 TLRと病原体関連分子パターン

Toll様受容体という言葉は過去問にも登場していますが、Toll様受容体の種類にまで踏み込んだ出題は初めてでした。
選択肢の不適切により採点除外となりましたが、確認しておきましょう(2024/03/15追記)。

Toll様受容体 (Toll Like Receptor ; TLR) はおもにマクロファージや樹状細胞など自然免疫系の細胞に発現し、外来病原体の認識とその応答を担っています。TLRは病原体関連分子パターン (pathogen-associated molecular pattern ; PAMP) を認識するパターン認識受容体(pattern-recognition receptor ; PRR)で、おもに自然免疫応答において重要な役割をはたします。

ヒトでは現在までに10種類のTLR(TLR1~10)の存在が確認されています。TLRの種類とPAMPとの関係は以下のとおりです。

【細胞膜に局在】
TLR1/TLR2(協調作用):トリアシルペプチド
TLR2:リポタイコ酸、ペプチドグリカン
TLR4:リポ多糖(LPS)
TLR5:鞭毛(フラジェリンタンパク質)
TLR6/TLR2(協調作用):ジアシルポリペプチド

【細胞内小胞膜(エンドソーム膜/リソソーム分画)に局在】
核酸(DNA、RNA)を認識する
TLR3:二本鎖RNA(ウイルス由来)
TLR7、TLR8:一本鎖RNA(ウイルス由来)
TLR9:細菌・ウイルス由来非メチル化DNA(CpG配列をもつDNA)
※CpG配列とは塩基のシトシン(C)とグアニン(G)がホスホジエステル結合でつながったもの

 

B23 GNAS1

線維性異形成症の原因遺伝子を選択する問題が初出題されました。これを機に疾患と原因遺伝子について整理しておきましょう。

鎖骨頭蓋骨異形成症:RUNX2
基底細胞母斑症候群:PTCH1
von Recklinghausen病:NF1
Crouzon、Apert症候群:FGFR2FGFR3
Peutz-Jeghers症候群:STK11/LKB1
Gardner症候群:APCFAP
Marfan症候群:FBN1TGFBR2
McCune-Albright症候群:GNAS1
Treacher Collins症候群:TCOF1
先天性外胚葉形成不全症:Ectodysplasin A
Papillon-Lefèvre症候群:CTSC

 

B62 新オレンジプランの7つの柱

新出題基準で追加されたワードで、「7つの柱」について初出題されました!

新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)とは、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指した戦略」のことです。新オレンジプランは7つの柱に沿って施策(対策)を総合的に推進しています。

①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
③若年性認知症施策の強化
④認知症の人の介護者への支援
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
⑦認知症の人やその家族の視点の重視

なおこのワードは、116直前期応援企画として、デンスタでもとりあげました
和漢薬や116回で出題されたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)など、新出題基準から記載されたワードは今後もおさえておきましょう!

 

D43 典型的三叉神経痛

三叉神経痛は原因不明と考えられる特発性三叉神経痛と原因となる疾患が存在する症候性三叉神経痛に分類されていましたが、2018年の国際頭痛分類第3版では以下のように分類が改定されました。

典型的三叉神経痛:頭蓋内の血管による三叉神経の圧迫を原因とするもの
二次性三叉神経痛:三叉神経に接する腫瘍や嚢胞など原因疾患があるもの
特発性三叉神経痛:原因が特定できないもの

また、以前の症候性三叉神経痛の多くは有痛性三叉神経ニューロパチーとされ、帯状疱疹後神経痛や上顎洞炎などによる顔面痛もこちらに分類されています。
今後、旧名称は使われない可能性が高いため、旧名称と新名称で混乱しないように注意しましょう。

 

いかがだったでしょうか?
基礎系・臨床系科目では「新オレンジプラン」や「典型的三叉神経痛」が初めて出題されましたが、それ以外は新ワードといえるものは全体的に多くはありませんでした。
今回の国試では、これまで出題された内容についてより踏み込んだレベルで問われる傾向がみられました。新ワードについても、用語として見るのは初めてでも内容的には過去に問われているものがほとんどでした。

麻布デンタルアカデミーの参考書NewTextは、過去15年の国家試験出題実績をつみあげていますので、新ワードやテーマの周辺知識にもしっかりふれています!国試の出題範囲の広さや深さをあらためて確認してみてください!

デンスタ記事でとりあげたテーマ(「嚥下訓練」B-50、C-26、D-69、「プライヤー」B-66、「TNM分類」D-37)多く出題されていましたので、あわせてご覧ください!

これからも最新の医療情報にアンテナをはりつつ、今までの出題範囲をきちんと復習していきましょう!
デンスタはこれからも、みなさんと一緒に国試合格に向けて頑張っていきます!

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