今回は、TNM分類とStage分類についてです!
覚える数字や部位が多くて混乱してしまうかもしれませんが、図や表で視覚化すると理解しやすくなります。
まずは概要を確認しましょう。
TNM分類
TNM分類は癌の種類によって若干異なりますが、口腔癌ではほぼ共通しているため、扁平上皮癌のTNM分類を学んでいきましょう。
【T:原発巣の大きさ】
TX:原発腫瘍の評価が不可能
T0:原発腫瘍を認めない
Tis:上皮内癌
T1:最大径が2cm以下かつ深達度が5mm以下
※紫は腫瘍を意味します。
T2:最大径が2cm以下かつ深達度が5mmを超える、
または最大径が2cmを超えるが4cm以下でかつ深達度が10mm以下
T3:最大径が2cmを超えるが4cm以下でかつ深達度が10mmを超える、
または最大径が4cmを超え、かつ深達度が10mm以下
T4a(口唇):下顎の骨皮質を超えて浸潤
下歯槽神経、口腔底、または皮膚(オトガイ部または外鼻)に浸潤
(口腔):最大径4cmを超え、かつ深達度が10mmを超える、
または下顎あるいは上顎の骨皮質を超えて浸潤するか上顎洞に浸潤、または顔面皮膚に浸潤
T4b(口唇および口腔):咀嚼筋間隙、翼状突起、あるいは頭蓋底に浸潤、または内頸動脈を全周性に取り囲む
※歯肉を原発巣とし、骨および歯槽のみの表在性の骨吸収はT4aとしない
腫瘍最大径、深達度とT分類についての対応は下の表のようになります。
腫瘍最大径2cm以下 | 2cm超 4cm以下 | 4cm超 | |
---|---|---|---|
深達度5mm以下 | T1 | T2 | T3 |
5mm超 10mm以下 | T2 | T2 | T3 |
10mm超 | T2 | T3 | T4 |
【N:所属リンパ節】
NX:所属リンパ節転移の評価が不可能
N0:所属リンパ節転移なし
※紫は腫瘍を意味します。
N1:原発腫瘍と同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下で節外浸潤なし
N2a: 原発腫瘍と同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmを超えるが6cm以下で節外浸潤なし
N2b:患側の多発性(2個以上)リンパ節転移で最大径が6cm以下で節外浸潤なし
N2c:両側または対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下で節外浸潤なし
N3a:最大径が6cmを超えるリンパ節転移(片側でも両側でも)で節外浸潤なし
N3b:単発性または多発性リンパ節転移で臨床的節外浸潤あり
【M:遠隔転移】
M0:遠隔転移なし
M1:遠隔転移あり
Stage分類
Stage分類はTNM分類と関連しており、治療方針の決定に使われます。
N0 | N1 | N2 | N3 | M1 | |
---|---|---|---|---|---|
Tis | 0 | ||||
T1 | Ⅰ | Ⅲ | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T2 | Ⅱ | Ⅲ | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T3 | Ⅲ | Ⅲ | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T4a | ⅣA | ⅣA | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T4b | ⅣB | ⅣB | ⅣB | ⅣB | ⅣC |
【Stage0期】
経過観察もしくは場合によって切除します。
【StageⅠ、Ⅱ期】
切除あるいは密封小線源による組織内照射をします。
所属リンパ節への潜在性転移が疑われる場合は予防的に頸部郭清を行うことがあります。
【StageⅢ期】
切除と頸部郭清を行い、腫瘍の進行程度に応じて化学療法を併用します。
また、N0の場合は手術前に放射線治療を行い、腫瘍を縮小させてから切除することがあります。
【StageⅣ】
切除と頸部郭清をします。また、根治目的ではなく、症状軽減目的で放射線治療をすることがあります。
知識を整理できたでしょうか?
次回はクイズと国試の問題で演習していきます!