今回は摂食嚥下に関して注目してみましょう!
出題基準改定の土台となった歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書には、「高齢化等による疾病構造の変化に伴う歯科診療の変化に関する内容」と「口腔機能の維持向上や摂食機能障害への歯科診療に関する内容」の記載があり、摂食嚥下に関する知識は超大事です。
超高齢社会である日本では、国試だけでなく、臨床でもマストの知識になっていきます。
5つのステージ
まずは、摂食の流れを確認しましょう!5つの期(ステージ)を覚えていますか?
(1)先行期
(2)準備期
(3)口腔期
(4)咽頭期
(5)食道期
でしたね!
それぞれの内容をみていきましょう!
先行期は認知期ともよばれ、視覚、嗅覚、聴覚で食べ物を認識する時期です。大脳辺縁系が大きな役割をはたします。
準備期は咀嚼期ともよばれ、口腔内に取り込まれた食べ物を咀嚼する時期です。
準備期で咀嚼された食べ物は嚥下できる性状に食塊形成され、舌によって咽頭腔へ移送されます。固形物の咀嚼中は食塊が咽頭に流入し、次の咽頭期との境界が不明瞭であることから口腔咽頭期と包括することもあります。
口峡から食道入口部までの時期です。舌根や咽頭への刺激により嚥下反射が誘発されます。この時、下顎はわずかに後方移動して嚥下位をとります。
咽頭期では、次のような協調活動によって送り込まれています。
2.舌の後部挙上による咽頭腔と口腔の遮断
3.舌根の前下方への移動による下咽頭部の開大
4.舌骨挙上(顎舌骨筋など舌骨上筋群の収縮)と喉頭挙上(甲状舌骨筋の収縮)による喉頭蓋の下方回転(喉頭口閉鎖)
5.声門閉鎖(外側輪状披裂筋、披裂筋、甲状披裂筋などの収縮)による一時的な無呼吸(嚥下性無呼吸)
6.食道入口部開大(輪状咽頭筋の弛緩)
食道から胃に送り込まれるまでの時期です。食道の蠕動運動によって食塊が送り込まれます。
摂食嚥下訓練
次に、摂食嚥下訓練について確認してみましょう!
摂食嚥下訓練は、食べ物を使う「直接訓練」と食べ物を使わない「間接訓練」に分けることができましたね。
以下に列挙する訓練は、「直接訓練」と「間接訓練」どちらに分類されるか覚えていますか?
(1)嚥下体操
(2)嚥下の意識化
(3)複数回嚥下
(4)アイスマッサージ
(5)嚥下反射促通手技
(6)横向き嚥下(頸部回旋)
(7)ブローイング訓練
(8)交互嚥下
(9)バルーン拡張法
(10)Mendelsohn手技
(11)Shaker訓練
(12)一口量の調整
(13)食形態調整
(14)プッシング・プリング訓練
(15)息こらえ嚥下訓練
(16)口唇閉鎖訓練
(17)顎引き嚥下
(18)舌抵抗訓練
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解答
間接訓練 | 直接訓練 |
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(1)嚥下体操 (4)アイスマッサージ (5)嚥下反射促通手技 (7)ブローイング訓練 (9)バルーン拡張法 (10)Mendelsohn手技 (11)Shaker訓練 (14)プッシング・プリング訓練 (15)息こらえ嚥下訓練 (16)口唇閉鎖訓練 (18)舌抵抗訓練 |
(2)嚥下の意識化 (3)複数回嚥下 (6)横向き嚥下(頸部回旋) (8)交互嚥下 (12)一口量の調整 (13)食形態調整 (17)顎引き嚥下 |
ただし、「嚥下反射促通手技」「Mendelsohn手技」「息こらえ嚥下訓練」は厳密には段階的摂食訓練であり、間接訓練と並行して直接訓練でも行います。
次回からはそれぞれの訓練方法について詳しくみていきましょう!