116回国試から適用される令和5年版国家試験出題基準 に新しく明記されたものの一つに、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)があります。
社会的に重要性の増す高齢者保健に関する施策について、概要をみていきましょう。
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)とは?
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)とは、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指した戦略」のことです。
簡単に言ってしまうと、「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」を推進していくための日本の方針のことです。
日本における認知症高齢者の数は2012年に462万人と推計されており、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年には約700万人となり、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれています。
また、2019年の国民生活基礎調査によると、要介護となった原因の第1位は認知症でした。
新オレンジプランが策定された理由は、これらの背景に対応できるような社会をつくるため、といえます。
新オレンジプランの7つの柱
ここからが重要なポイントです。
新オレンジプランでは「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」のため、7つの柱に沿って施策(対策)を総合的に推進しています。
厚生労働省:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(概要)平成29(2017)年7月改訂版 より
重要なキーワードに注目しながらみてみましょう。
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
③若年性認知症施策の強化
④認知症の人の介護者への支援
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
⑦認知症の人やその家族の視点の重視
7つめの「認知症の人やその家族の視点の重視」は、他の6つの柱に共通するプラン全体の理念であるとされています。
どれも「認知症の人が住みやすい世の中にするために必要なことは?」と考えるとイメージしやすいかもしれません。
7つの柱には、それぞれ具体的な施策が設定されています。
第2回ではそれぞれの柱に沿って行われる具体的な施策についてみていきます!