前回は必修の注目ワードでしたが、今回は基礎系・臨床系科目から新ワードをピックアップします!
では、早速みていきましょう!
B56 抗凝固薬と併用を注意するべき薬
新規経口抗凝固薬(NOAC)が薬理学から出題されました。
歯科は観血的治療が多いため、抗凝固薬と併用を注意するべき薬は重要です。
1)ワルファリンとの併用に注意の薬
・作用を増強させる薬として、糖尿病治療薬(スルホニル尿素薬)、抗がん剤(フルオロウラシル)、抗菌薬(マクロライド系)、NSAIDs、抗真菌薬(トリアゾール系)、抗リウマチ薬(イグラチモド)などがあります。
・ビタミンK剤(メナテトレノン)はワルファリンの作用を減弱させるため注意が必要です。
2)新規経口抗凝固薬との併用に注意の薬
新規経口抗凝固薬(NOAC)は第Ⅹa因子阻害薬(リバーロキサバンなど)や第Ⅱa因子阻害薬(ダビガトラン)があります。
・リバーロキサバンの作用を増強させる薬としては、抗HIV薬、フルコナゾールを除くアゾール系抗真菌薬があります。
・ダビガトランの作用を増強させる薬としては、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾールがあります。
抗凝固薬を服用している患者さんは多いので、口腔カンジダ症で抗真菌薬を処方するときなどは注意しましょう!
C77 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
新出題基準で追加されたワードです。衛生から出題されました。
国際保健に関する新キーワードです。UHCの概念は近年話題のSDGs(持続可能な開発目標)にも含まれており、「すべての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」を意味します。
なおこのワードは、116直前期応援企画として、デンスタでもとりあげました!やっぱり新しく記載された用語は出題されやすいですね!
和漢薬や新オレンジプランなど、今回の出題基準から記載されたワードは今後もおさえておきましょう!
C73 好塩基球活性化試験(basophil activation test:BAT)
新出題基準で追加されたワードです。口腔外科学から出題されました。
口腔外科学のほかに、歯科麻酔学や基礎系科目にも関連があるワードです。
アレルギー検査には大きく分けてin vivo検査、in vitro検査があります。
好塩基球活性化試験はin vitro検査の一つで、その名のとおり、好塩基球の活性状態を調べる試験方法です。好塩基球の活性化で増強する「CD63」や「CD203c」というマーカーの発現状態を「フローサイトメーター」という分析装置で調べます。
ほかの検査方法に比べて汎用性が高く、精度も高いため、検査として大変有用です。臨床ではアレルギー検査、とくにアナフィラキシーの原因物質の特定などに用いられます。かなり優秀な検査方法なので、今後臨床で出会うことも増えるかもしれません!
アレルギー検査には多くの種類があるのでin vivo とin vitroの違いや使用目的などに着目して整理しておくといいでしょう。
B67 CKDの重症度評価
推算糸球体濾過量(eGFR)は新出題基準で追加されたワード(と基準値)です。口腔外科学から出題されました。
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)は腎障害や腎機能低下が慢性的に(3か月以上)続いている状態のことをいいます。
そのCKDの重症度を評価する指標としてクレアチニンクリアランス(Ccr)に代わって、推算糸球体濾過量(eGFR)が用いられるようになっています。
CcrとeGFRはともに糸球体濾過量(GFR)を表す指標ですが、eGFRの方がCcrよりも真のGFRに近い値となります。eGFR90以上で腎機能は正常とされ、60未満が続くとCKDの診断基準に該当してきます。
eGFRの計算式まで覚える必要はないと思いますが、検査値の目的や基準値の目安はおさえておきたいところです。また検査値の単位がCcrではmL/minであるのに対し、eGFRはmL/min/1.73m2となることにも注意しておきましょう!
D66 頭蓋底骨折の症状
頭蓋底骨折の症状の一つであるBattle徴候が口腔外科学から出題されました。
上顎骨や下顎骨の骨折は国家試験で頻出ですが、外傷時に注意するべきものとして頭蓋底骨折があります。
その徴候としては、以下のようなものがあげられます。
①Battle徴候
中頭蓋底骨折による耳介後部の皮下出血のことです。
②パンダの目徴候〈raccoon eyes〉
前頭蓋底骨折による眼瞼周囲の皮下出血のことです。
③鼻出血、耳出血
前頭蓋底骨折ではほとんどで鼻出血を伴います。耳出血は鼓膜の損傷があるときにみられます。
④髄液漏
頭蓋底骨折に硬膜の損傷が伴う場合、鼻孔や耳孔から脳脊髄液が漏れ出ることがあります。
なお、Battle徴候は114A27で写真としてとりあげられています。ぜひ確認してみてください。
過去問を解くときには周辺知識もあわせて勉強するとよいという例ですね!
A52 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の特徴
歯科麻酔学から出題されました。
COPDは気道狭窄に伴う所見、肺気腫に伴う所見の2つが特徴的にみられます。
いかがだったでしょうか? 時代にあわせて国試で出題されるワードや出題のされ方もアップデートされていますね。
どのワードも国試としては初めてですが、臨床の現場や教科書では当たり前のように取り上げられている重要なワードです。ぜひチェックしておきましょう!
ただ、今回にかぎらず新ワードは毎年でてきますが、あまり神経質になりすぎる必要はありません。
記事ではとりあげませんでしたが「遺伝性血管性浮腫」「感染制御チーム」など、他にも新しいワードが数多く出題されています。新しい問われ方もありました。
しかし、安心してください!用語として見るのは初めてでも内容的には過去に問われている場合もあります。また、これらのワードは過去問の関連知識として、既にNewTextで記載・言及されているものがほとんどです!
新しい用語に目を向けることはもちろん大切なことですが、大部分は今までの国家試験で問われているものです。最新の医療情報にアンテナをはりつつ、今までの出題範囲をきちんと復習することが大切になってきます。
117回国試までデンスタと一緒に頑張っていきましょう!