【暗記チェック!】心電図は今回が最後になります。
第3回では、心電図に関する国家試験の問題を解いてみましょう!
107D1
60歳の男性。下顎右側第一大臼歯の抜髄を予定した。10年前から高血圧症があり、降圧薬を内服している。血圧は152/84mmHg、心拍数は72回/分、整であった。8万分の1アドレナリン含有2%リドカイン塩酸塩1.8mlを用いて浸潤麻酔を行ったところ、血圧は160/90mmHgとなり、胸部不快感を訴えた。そのときの心電図を別に示す。
静脈内投与すべき薬剤はどれか。1つ選べ。
a ミダゾラム
b アドレナリン
c リドカイン塩酸塩
d ニトログリセリン
e アトロピン硫酸塩水和物
解答 C
解説
幅と高さが大きい異常なQRS波が不定期にみられます。これは心室性期外収縮の特徴です。
心室性期外収縮は経過観察などで対応することが多いですが、この問題のように頻発する場合は心室頻拍や心室細動に移行して致命的になることがあります。
治療として、リドカイン塩酸塩を投与して不整脈を改善します。
108B22
56歳の男性。下顎右側第一大臼歯の抜髄を予定した。心筋梗塞の既往があり高血圧症で加療中である。モニター心電図とパルスオキシメータを装着後、仰臥位で浸潤麻酔直後にいびきをかきはじめ、不規則な呼吸となった。その時の心電図を別に示す。パルスオキシメータは88%を示し、血圧は110/68 mmHgであった。
対応として正しいのはどれか。2つ選べ。
a 気道の確保
b 下肢の挙上
c 胸骨圧迫の開始
d アトロピン硫酸塩水和物の投与
e ニトログリセリン貼付剤の適用
解答 A,D
解説
まずは心拍数を計算してみましょう。
心拍数=300÷大きいマス目(5mmごとのマス目)の数
でしたね。
心拍数はRR間隔のマス目を数えます。今回は大きいマス目で8マスです。
よって、心拍数=300÷8=37.5回 となります。
心拍数の正常値は60〜100回なので、高度の徐脈が生じています。
次に、波形に注目してみると、QRS波の幅が広がっており、心室由来の指令が生じていると考えられます。
また、P波とQRS波の出現がバラバラになっています。これらのことから、心房から心室への電気信号が伝わらない、Ⅲ度房室ブロックが発生していると考えられます。
高度の徐脈に対しては、アトロピン硫酸塩水和物を用います。
問題文から、患者はいびきをかいており、上気道閉塞が生じていることがわかります。これに対しては、オトガイ挙上など気道の確保で対応します。
107D4
75歳の男性。義歯の不適合を主訴として来院した。5年前に脳梗塞の既往があり片麻痺があるという。モニタ装着下、治療を開始した数分後に急に動悸がするとの訴えがあった。術前と動悸が生じているときの心電図を別に示す。
最も疑われるのはどれか。1つ選べ。
a 心筋虚血
b 心室細動
c 心房細動
d 房室ブロック
e 心室性期外収縮
解答 C
解説
動悸が生じているときの心電図に注目すると、RR間隔が不規則になっています。さらにP波が消失し、f波が出現しています。
また、RR間隔が術前よりも短くなっており、心拍数が100回以上と頻脈になっています。
これらのことから、心房細動が考えられます。
心電図についての理解度をしっかり確認できたでしょうか。
いろいろな心電図を見ることが診断力アップの秘訣です。
波形の異常を確実に見つけて正しい診断ができるよう、反復トレーニングをしてみてください!
また本記事であつかったイラストは、「歯学生のための内科ビジュアライズ」からです。
心電図のことだけでなく、循環器疾患をはじめ
国試頻出の全身疾患をイメージしやすいようにイラスト化してまとめてあります!
ぜひ!あわせてご活用ください!