基本を確認したところで!次は国家試験でよく問われる疾患の心電図をみていきましょう!
【第1問】これはわかりますか?
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【第1問】解答
答えは「心房細動」です!
心房細動は「心房」が細かく震えて痙攣している状態です。
通常であれば心臓は、
洞(房)結節→房室結節→ヒス束→脚→プルキンエ線維
をたどって規則的に電気信号が送られて収縮します。
しかし、心房細動では心房のいたるところから勝手に指令が出て、それに伴って心房の筋肉がブルブルと不規則に活動してしまいます。
心房の動きを表すのは「P波」です。
心房細動では心房が細かく震えているだけなので、P波が出ません。心房が細かく震えている動きを表す波形は「f波」といいます。
心房の電気活動がリズムよく伝達されないため、心室に伝わる電気活動も不規則になり、心室の動きを表す「QRS波」が不規則に出現します。
また、ほとんどの場合、頻脈を伴います。
【治療】
血栓予防:抗凝固薬
心拍数コントロール:β遮断薬、Ca拮抗薬
【第2問】さて、次はどうでしょうか?
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【第2問】解答
答えは「心室細動」です!
心室細動は「心室」が細かく震えて痙攣している状態です。
心室のいたるところから勝手に指令が出て、心室が不規則に活動してしまいます。
心室の不規則な電気活動によって、幅、間隔、高さも不規則な波形が出現します。
また、「心室」は心臓から全身へ血液を送り出す部屋です。
心室が痙攣して機能しなくなると血液を送り出すことができず、致命的な状態になります。
【治療】
胸骨圧迫、AEDによる除細動
【第3問】これはどうでしょうか?
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【第3問】解答
答えは「心室性期外収縮」です!
心室性期外収縮は心房からの指令を待たずに心室から勝手に命令が出る状態です。
刺激伝導系を介さずに心室で発生した指令はゆっくり伝達します。そのため、QRS幅が広くなります。
期外収縮が発生している時のみ通常よりも早いタイミングでQRS波が出現します。
心室性期外収縮は経過観察などで対応することが多いですが、頻発する場合は心室頻拍や心室細動に移行して致命的になることがあります。
【治療】
頻発する場合:リドカイン塩酸塩の投与
【第4問】これはどうでしょうか?
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【第4問】解答
答えは「Ⅲ度房室ブロック」です!
房室ブロックは、心房で発生した指令が心室までうまく伝達しない状態です。
房室ブロックは3つのパターンがあります。
1.Ⅰ度房室ブロック
心房から心室まで指令自体は毎回伝わっていますが、指令の伝達に時間がかかっている状態です。
つまり、心房から心室までの伝達を表すPQ時間が毎回延長します。
2.Ⅱ度房室ブロック
Ⅱ度房室ブロックは心房で発生した指令が、ときどき心室まで伝わらない状態です。
Ⅱ度房室ブロックは、さらに2つに分けられます。
①Wenckebach型
PQ間隔が徐々に延長して、QRSが消失するのを繰り返す状態です。
②MobitzⅡ型
PQ間隔は一定ですが、QRS波が突然消失する状態です。
3.Ⅲ度房室ブロック
心室にまったく指令が伝わらない状態です。
心室に指令が伝わらないなら、QRS波は消失するのでは?と思うかもしれませんが、心室が収縮しない状態はかなり危険です。そのため、心房からの指令がない時は、脚やプルキンエ線維が指令を出して心室を収縮させる補助機能があります。
心房と心室がバラバラに動いている状態なので、P波とQRS波はバラバラに現れます。
【治療】
徐脈:アトロピン硫酸塩投与
重症例には人工ペースメーカー
【第5問】さて、次は2つを比較してみましょう!どの疾患かわかりますか?
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【第5問】解答
答えは左の図は「狭心症」、右の図は「心筋梗塞」です!
心臓の栄養血管である冠状動脈が狭くなって血流が滞ることを狭心症、血管が完全に閉塞することを心筋梗塞といいます。
心電図のST部分は心室筋が収縮しているときに相当します。狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患では、ST部分に注目しましょう。
1.狭心症
狭心症ではST部分が低下します。
ただし、異型狭心症という冠動脈が攣縮して生じる狭心症ではST部分が上昇します。
【治療】
発作時は硝酸薬(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド)舌下投与
2.心筋梗塞
心筋梗塞ではST部分が上昇します。
心筋梗塞では時間の経過とともに異常Q波や陰性T波がみられます。
異常Q波は血管の梗塞によって心筋が壊死した状態を表します。
陰性T波は心筋障害が長期的に残っていることを表します。
【治療】
発作時:酸素、モルヒネ、アスピリン投与
心筋梗塞の発作から心室細動へ移行した場合:胸骨圧迫、AEDによる除細動
次回は実際の国試の問題を解いてみましょう!