第119回歯科医師国家試験の結果から、問題数や配点、出題形式、合格基準など、
国試対策を進めるうえで知っておくべき「国試のキホン」について解説します。
あわせて120回から適用の新出題基準の概要、近年の出題傾向や注目テーマについてもお伝えします!
試験の解答時間と問題数は?
最初に国家試験の時間割と出題数、配点を確認しましょう。配点の割合が高い問題種別や科目がわかると、国試対策で外せないポイントがみえてきます。

試験は2日にわたって行われ、それぞれ午前・午後の計4コマで構成されています。
1コマ=2時間15分(135分)で出題数は各90問。必修・一般・臨実問題が均等に出題されました。
2時間15分ということは、必修・一般問題は1問あたり約1分、臨実問題は1問あたり約2分半で解くことが一つの目安になります。
これで残り時間は7分半なので、実際にはマークミスなど見直しの時間を十分とるためには、もう少し早いペースで解いていかなくてはなりません。このあたりは模擬試験などで感覚をつかんでいくとよいでしょう。
なお、科目ごとであったり、一般問題の次は臨実問題など、定まった出題順があるわけではありません。試験本番では1問ずつ頭を切り替えて解答する必要があります。
配点は、必修・一般問題は1問1点、臨実問題は1問3点で、合計560点満点です。
配点の割合としては、必修問題が14%、一般問題が32%、臨実問題が54%となり、約半分超を占める臨実問題の出来が合否に大きく影響することがわかります。
これを科目別にみると、119回で配点が多いのは口腔外科、衛生、矯正、小児の順で、必修問題を除くとこれらで約48%を占めています。国試の勉強では苦手科目・分野をつくらないことが重要ですが、同時にこれらの科目で得点を伸ばすような対策をしていくことが合格への近道であるといえます。
歯学生が一斉に受験する試験には、臨床実習前の試験(CBT)があります。CBTの出題範囲(コア・カリキュラム)が国試対策において土台となることは間違いありません。しかし、国試で配点の高い臨実問題はCBTとは内容の深さやアプローチがまったく異なります。また一般問題でも設問の踏み込み方や選択肢設定のレベルが上がるため、それらにあわせた別の対策が必須となることは理解しておく必要があります。
必修・一般・臨実問題を均等に出題する方針も継続とされています。
問題形式とその対策
次に試験の問題形式について見てみましょう。119回は全7種類の形式で出題されました。

XXタイプ(すべて選べ)は新出題基準の適用に先立ち、119回から廃止されています。
計算問題は105回から採用され、これまで40問が出題されました。科目別では衛生と矯正での出題が多く、学習した数式を使って計算した結果を解答します。数値をダイレクトに解答するので、より正確に解答する力が求められます。
順序問題は111回から採用され、これまで35問が出題されています。5つの選択肢を順番に並べさせる形式で、解答には製作手順や術式の正確な理解が求められます。科目別では補綴系や矯正、口腔外科、保存系が多く、約8割が臨床実地問題での出題となっています。
なお、Aタイプ(1つ選べ)の出題形式でも「◯番めに当てはまるのはどれか」というようなかたちで手順や各段階で使用する器具を解答する問題も出題されています。
これらの形式では画像をみて解答する問題も多いため、ビジュアルを含めた手順や流れは学習時に必ずおさえておきましょう。

問題形式ごとに対策を大きく変える必要はありませんが、近年の過去問にあたるときには、特殊な形式についてはどのようなことが問われているのか、みておくようにしましょう。
必修のX2タイプ(2つ選べ)の出題は継続され、その他の変更はありません。
国試合格には3つの合格基準をクリアする!
国試は全体で560点満点ですが、合格のためには、領域A(総論)、領域B(各論)、必修問題の3つの合格基準をすべてクリアしなければなりません。

領域A・領域Bはそれぞれ合格発表時に合格基準が公表され、毎年異なります。一方で必修問題は絶対評価で得点率8割以上という合格基準が設定されています。
119回は必修の採点除外問題が3問あり、これにより合格基準が例年と異なる点数となりました。115〜118回は必修の採点除外はなく、それ以前でも必修で3問が採点除外というのは近年にはない結果だったといえます。
必修問題は合格基準が8割以上というと高めの印象も受けますが、難しい問題が出題されるわけではありません。出題範囲をおさえ、ケアレスミスをなくす訓練をしていきましょう。
国試は合格基準が複数設定されているため、自分の弱点や苦手科目を的確に把握し、それを補っていくようなバランスのよい学習を意識して対策をすすめる必要があります。過去問を解くときはこのことに留意して進捗を把握していくのがポイントです。
国試本番に向けた受験時間や問題形式などへの対応は、模擬試験でコツをつかんでいきましょう。
臨床での問題解決能力をみる問題が増加!
近年の国試は「過去問類似の問題」が減少傾向にあり、テーマは同じでも問われ方が異なる「過去問応用の問題」が増加しています。具体的には、過去の問題の✕選択肢をテーマとした出題、設定されている条件に一歩踏み込んだ読み取りが求められる問題があげられます。
国試対策として過去問が有効なことは変わりませんが、単なる暗記ではなく、正解の理由をきちんと理解し、✕選択肢も含めて解説をていねいに確認して応用力をつけていくことが大事です。
出題傾向としては、写真や検査データを読み取って判断させる問題、処置・治療の目的や選択理由などを問う問題の増加がみられ、臨床での状況判断・問題解決の力をはかる内容となっていることがわかります。臨床における状況判断力を身につけるためには、問題に与えられた情報を偏りなく分析することや処置内容の優先順位を理解できていることが求められます。

119回の問題をみると、1つの科目の知識だけではなく、科目や領域を横断する視点が求められる問題が散見されました。また、問題に与えられた条件設定や設問の意図を注意深く読み取る必要のある問題が増えました。
多面的な視野をもつと同時に、求められていることを的確に洞察する能力が求められているといえます。
こういった傾向への対策については、近年の過去問、また模擬試験などを繰り返し演習することで思考力を養っておきたいところです。
119回で出題された新ワードを以下の記事で紹介しています。ぜひあわせてご確認ください!
▶ 119国試の気になる新ワードをピックアップ!【必修編】
▶ 119国試の気になる新ワードをピックアップ!【基礎系・臨床系科目編】
119回の注目テーマは?
最後に近年、出題が注目されるテーマをご紹介します!

「高齢者歯科」や「全身疾患(内科学)」といったテーマのうち、摂食嚥下障害、認知症患者や要介護者の口腔ケア、リハビリテーション、栄養管理などは出題論点として定着したとみてよいでしょう。
増加傾向にある「配慮が必要な高齢者・有病者・障害者等」をテーマとした問題は119回も多く出題されています。
また、117回から最新の診療ガイドラインに準じた問題やポジションペーパーなどを意識した出題が増えていることは注目です。医科的な知識を問う問題、多職種連携を意識した問題も増えており、これまで以上に科目の垣根を越えて視野を広げた学習が求められていることがわかります。
120回から適用の令和9年版出題基準では、以下の項目の充実をはかるとされています。
● 情報倫理及びデータ保護に関する原則に関する内容
● 病院歯科等の役割に関する内容
マイナ保険証やオンライン資格確認、診療録の電子化、臨床現場での情報の電子化により、個人情報を含むデータの扱いについての理解が求められること、また、地域の歯科医療連携、歯科医療提供体制をふまえて役割の理解が求められることが背景とされています。
また、このほか必修で出題される英語問題については、「外国人患者への診察を行う際に必要な基礎的な英語の能力を中心とする」とされています。
令和9年版出題基準については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 令和9年版 歯科医師国家試験出題基準のポイント!①
▶ 令和9年版 歯科医師国家試験出題基準のポイント!②
2回にわたって解説した「第119回 国試結果を読み解く!」はいかがだったでしょうか。
国試の現状を知ることで国試対策のイメージがより明確になり、皆さんが正しく力を尽くせるように応援しています!
イラスト:limop