第4回は、インプラント関連の国家試験の問題を解いてみましょう!
117A30
64歳の男性。上顎右側第一小臼歯の欠損による咀嚼困難を主訴として来院した。診察の結果、インプラント義歯による補綴歯科治療を行うこととした。上部構造の精密印象採得を行う直前の口腔内写真(A)と試適後の個人トレー(B)を別に示す。
次に示す5つのステップで、3番目に行うのはどれか。1つ選べ。
a 印象材の注入
b 印象体の撤去
c 接着材の塗布
d 固定用スクリューの撤去
e インプラントアナログの連結
解答 D
解説
写真Aの器具はインプラント体レベルの印象用コーピングです。写真Bはトレーに穴が空いているので、オープントレーとわかります。インプラント体レベルのオープントレー法についての問題です。
選択肢を順番に並べると、
1.接着剤の塗布
2.印象材の注入
3.固定用スクリューの撤去
4.印象体の撤去
5.インプラントアナログの連結
となります!
印象採得については第2回で解説しました。
図でもう一度確認しておきましょう!
116C42
65歳の男性。咀嚼困難を主訴として来院した。診察の結果、上顎右側第一大臼歯相当部にインプラントを埋入することとした。埋入予定部位の再構成CT冠状断像(A)と各種インプラント体の写真(B)を別に示す。なお、A、Bともスケールの目盛りは1mmである。
埋入するのに最も適したインプラント体はどれか。1つ選べ。
a ア
b イ
c ウ
d エ
e オ
解答 E
解説
写真から、埋入予定部位の骨幅は約7mm、骨高径は約10mmであることと、それぞれのインプラント体の長さは、アは13mm
イは11mm
ウは10mm
エは9mm
オは8mm
であることがわかります。
インプラント体は頰舌的に1mmずつ骨幅を残す必要があるため、直径は5mmまで使用できます。本症例ではア~オのどのインプラント体を選択しても条件を満たすことができますが、制約がない場合は太いタイプが好ましいため、アかオのインプラント体が考えられます。骨高径が10mmであることから、アのインプラント体は長さが13mmと長すぎるため、最も適するのはオ(直径4.0mm、長さ8mm)のインプラント体となります。
115D60
2種類のインプラント体の写真を別に示す。
アと比較したイの構造の特徴はどれか。1つ選べ。
a 微小漏洩が少ない。
b 回転に対する抵抗力が強い。
c 側方力に対する抵抗力が強い。
d インプラント体に亀裂が入りにくい。
e アバットメントスクリューが緩みにくい。
解答 D
解説
インプラント体とアバットメントの連結機構についての問題です。
アはインターナルコネクション、イはエクスターナルコネクションです。
選択肢をみていきます。
A:微小漏洩はエクスターナルコネクションのほうが多いです。
B、C:回転や側方力に対する抵抗力はエクスターナルコネクションのほうが弱いです。
D:インターナルコネクションはインプラント体の外壁の薄い部分に応力が集中すると亀裂が入ることがあります。エクスターナルコネクションのほうが亀裂は入りにくいです。
E:アバットメントスクリューはエクスターナルコネクションのほうが緩みやすいです。
連結機構については第3回で解説しました。
表でもう一度確認しましょう!
インプラントの基本について整理できましたか?
実習で触れる機会なども大切にして、知識を定着させていきましょう!