前回は疾病予防の3相5段階の概念について解説しました。
今回は過去の国家試験問題をみながら、どのように出題されたかを確認していきましょう。
国家試験の問題を解いてみよう
108A108
LeavellとClarkによる疾病の自然史で第2次予防はどれか。2つ選べ。
a 抜 髄
b レジン修復
c 補綴歯科治療
d フッ化物歯面塗布
e ショ糖の摂取制限
解答 A,B
解説
第一次予防は「健康増進」や「特異的予防」、第二次予防は「早期発見・早期治療」、第三次予防は「リハビリテーション」が該当します。「機能障害の防止」は第二次予防もしくは第三次予防と考えてください。
抜髄、レジン修復は「機能障害の防止」のため第二次予防もしくは第三次予防、補綴歯科治療は「リハビリテーション」のため第三次予防、フッ化物歯面塗布は「特異的予防」のため第一次予防、ショ糖の摂取制限は「健康増進」のため第一次予防となります。
このようにそれぞれの予防法がどの概念に当てはまるかを考えながら解く必要があります。
近年は必修問題において次のように出題されていました。
116A11
歯周病の第一次予防でプロフェッショナルケアはどれか。1つ選べ。
a スケーリング
b 生活習慣の改善
c フッ化物歯面塗布
d 歯周病に関連する広報
e デンタルフロスの使用
解答 A
解説
歯周病に対する第一次予防であり、さらにプロフェッショナルケアであるものはどれかという、これまでに出題されてきた内容を深掘りするような問題でした。
同様の問題は114C11でも出題されています。
どちらも必修問題ではありますが、正答率が低かったため、今後も出題される可能性が高いと考えられます。
ちなみに教科書には次のような図表で掲載されていました。
一次予防 | ||
健康増進 | 特異的予防 | |
セルフケア | 生活習慣の改善、禁煙 | プラークコントロール(ブラッシング、フロッシング) |
プロフェッショナルケア | 歯科保健指導、リスク検査、個別栄養指導、禁煙支援、専門職との連携 | スケーリング、PTC、PMTC、悪習癖の除去、プラークリテンションファクターの修正 |
コミュニティケア | 保健教育、集団栄養指導、健康目標の設定 | 歯周病検診、歯科健康医療に基づく広報 |
(村上伸也ほか編「臨床歯周病学 第3版」、医歯薬出版、2020)
おわりに
疾病予防の3相5段階について、理解が深まったでしょうか。これまで数多く出題されている重要な概念です。
正答率が低くなる傾向がありますが、3相の意味と5段階の内容を関連づけながら覚えていくことで正解を選びやすくなるでしょう。
確実に得点できるようチェックしておきましょう!