今回は疾病予防の3相5段階についてお話します。
これまで国家試験にも何度も出題されているため、皆さんご存知かと思いますが、実は令和5年版の新出題基準から「疾病予防の3相5段階」が明言されるようになりました。
今後も出題される可能性が高いため、改めて確認していきましょう。
3相5段階ってなに?
疾病予防の3相5段階とはLeavellとClarkが提唱した、疾病の自然史になぞらえた予防の概念です。
3相とは第一次予防から第三次予防を、5段階とは①「健康増進」、②「特異的予防」、③「早期発見・早期治療」、④「機能障害の防止」、⑤「リハビリテーション」、を表しています。
過去の国家試験には以下のような概念図で出題されました。(107A70より)
第一次予防は疾病のない段階で行う予防的概念です。
「健康増進」や「特異的予防」が該当します。
第二次予防は疾病の自覚症状がない状態で行う予防的概念です。
「早期発見・早期治療」が該当します。
第三次予防は疾病の自覚症状が現れた以降に行う予防的概念です。
「リハビリテーション」が該当します。
ここで問題になるのが「機能障害の防止」です。実は107A70が出題されたときには「機能障害の防止」が第三次予防に該当しています。自覚症状が現れて以降の処置を「機能障害の防止」と考えると第三次予防に当てはまりますし、早期治療の一つとして重症化予防のための「機能障害の防止」と考えると自覚症状がない状態から行う第二次予防とも考えられます。
下の表は「機能障害の防止」を第二次予防として考えた場合の齲蝕と歯周病の予防の具体例です。
「機能障害の防止」は第二次予防?第三次予防?
実は「機能障害の防止」は論文の出版年や書籍、対象とする疾患の違いによって第二次予防、第三次予防のいずれも正解です。最新の教科書でもどちらに分類されるかはっきりしておらず、第二次予防、第三次予防のどちらにも分類されると書かれています。もし国家試験に出題されたときは、問題文に合わせて第二次予防と第三次予防、どちらとして考えると適切か、臨機応変に考えましょう。
次回は実際に国家試験でどのように問われているか確認しましょう!