令和9年版出題基準の気になる新ワードをピックアップ!【衛生学編】

国試・CBT対策

2026年3月に令和9年版の歯科医師国家試験出題基準が公表されました。
以前の記事では改定の大きな変更点についてご紹介しましたが、具体的にどんな新しい言葉が追加されたのか、気になりますよね?

令和5年版と比較して新たに追加された用語を、テーマ別にみていきましょう!
まずは、国試でも高い配点を占める衛生学の範囲から、今すぐ押さえておきたい4つのワードを解説します!

 

衛生学

感染経路別予防策

感染の有無にかかわらず適用される感染予防策のことを標準予防策(スタンダードプレコーション)といいますが、感染経路別予防策はこれに加えて、接触感染・飛沫感染・空気(飛沫核)感染といった病原体ごとの感染経路の特性に応じて実施されます。
たとえば、結核の疑いがある患者さんの診療で、通常のマスクではなくN95マスクを着用したり、陰圧個室で対応したりする場面を想像してみてください。これは標準予防策に加えて、空気感染予防策を行っている例になります。標準予防策との役割の違いを整理しておくことが大切です。

(N95マスク)

 

地域診断

地域診断とは地域保健活動で実施される手法になります。地域住民の健康状態や生活習慣、保健医療福祉サービスの利用状況といったデータを収集・分析し、その地域特有の健康課題やニーズを明らかにすることを目的としています。
たとえば、ある地域で高齢者の歯科受診率が低いことがわかったとき、その背景に交通手段の不足や歯科医院の不足があるのかを調査するような取り組みが地域診断です。明らかになった課題に基づいて保健事業の計画を立案し、実施・評価していく、これが地域保健活動の出発点となる重要な工程です。こうした一連の流れによって、地域の健康やQOLの向上につながっていきます。

 

認知症施策推進大綱

「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」については以前記事で取り上げたことがあります。当時の令和5年版国家試験出題基準に合わせて掲載しましたが、今回の令和9年版国家試験出題基準では「認知症施策推進大綱」となりました。
認知症施策推進大綱」は2019年に策定された方針で、従来進められていた「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の取り組みを引き継いでいます。認知症の人や家族の視点を重視しながら、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会をめざす「共生」と、認知症の発症や進行を遅らせる「予防」を両輪として施策を推進しています。
「共生社会の実現」という理念をふまえ、2024年1月には共生社会の実現を推進するための認知症基本法(認知症基本法)が施行され、2024年12月には認知症施策推進基本計画が策定されました。

 

 

アドバンス・ケア・プランニング〈ACP〉

アドバンス・ケア・プランニング〈ACP〉とは将来の医療やケアについて、患者本人を主体に、家族や医療・ケアチームがあらかじめ繰り返し話し合っておくプロセスのことです。ACPは「人生会議」ともよばれ、本人の意思決定能力が低下した場合に備えて、価値観や希望をあらかじめ共有しておくことを目的としています。
たとえば、「もし口から食べられなくなったとき、どんな医療を望みますか」と、患者さんが元気なうちに家族や医療者と話し合っておく、こうした話し合いのプロセスがACPになります。ちなみにこのような状況を想定して、本人の意思を表示しておくことをアドバンス・ディレクティブ(事前指示)、本人の意思を記した文書をリビングウィルといいます。

 

 

今回は、令和9年版の新出題基準から、衛生学に関する新ワード4つを解説しました。いずれも、これからの歯科医療や保健衛生上の活動において重要視されている臨床や社会の動きと密接にかかわっているテーマです。 
新しい言葉は難しくみえますが、まずは「なぜこの言葉が追加されたのか」という背景や基本概念を、今のうちに整理しておくことが合格への近道になります!

次回は、こちらも大注目の【口腔機能・画像検査編】をお届けします!
プロセスモデルやGLIM基準、最新の画像検査など、一歩踏み込んだ臨床的な新ワードを解説しますので、どうぞお楽しみに!

 

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