第118回歯科医師国家試験より、国試の問題数や配点、出題形式、合格基準について解説します。
また、第120回から適用となる令和9年版の新出題基準(※)についても概要をお伝えします!
※「歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書について」(厚生労働省 令和7年3月31日)より
試験の解答時間と問題数は?
まずは、国家試験の時間割を確認しましょう。
国試は2日間にわたって行われ、それぞれ午前・午後の計4コマで構成されています。
1コマ=2時間15分(135分)で出題数は各90問。必修・一般・臨実問題がバランスよく均等に出題されました。
2時間15分ということは、必修・一般問題は1問あたり約1分、臨実問題は1問あたり約2分半で解くことが一つの目安になります。
これで残り時間は7分半なので、実際にはマークミスなど見直しの時間を十分とるためには、もう少し早いペースで解いていかなくてはなりません。このあたりは模擬試験などで感覚をつかんでいくとよいでしょう。
配点は、必修・一般問題は1問1点、臨実問題は1問3点です。
全体に占める割合としては、必修問題が14%、一般問題が32%、臨実問題が54%となり、約半分超を占める臨実問題の出来が合否に大きく影響することがわかります。
臨床実習前の試験(CBT)に向けた学習が国試対策において土台となることは間違いありません。しかし国試で配点の高い臨実問題はCBTとは内容の深さやアプローチが全く異なります。また一般問題でも設問の踏み込み方や選択肢設定のレベルが上がるため、それらにあわせた別の対策が必要となることは理解しておく必要があります。
なお、科目ごとであったり、一般問題の次は臨実問題など、定まった出題順があるわけではありません。試験本番では1問ずつ頭を切り替えて解答する必要があります。
必修・一般・臨実問題を均等に出題する方針も継続とされています。
問題形式とその対策
次に試験の問題形式について見てみましょう。118回は全8種類の形式で出題されました。
問題形式ごとに対策を大きく変える必要はありませんが、近年の過去問にあたるときには、どのような形式でどのようなことが問われているのか、意識するようにしましょう。
計算問題は衛生や矯正、基礎系科目からの出題が多く、学習した数式を使って計算した数値を解答することになります。
順序問題は5つの選択肢を順番に並べさせる出題形式で、解答には製作手順や術式の正確な理解が求められます。ビジュアルを含めた手順や流れは学習時に必ずおさえておきましょう。
なお、XXタイプ(すべて選べ)は新出題基準の適用に先立ち、119回から廃止すると発表されています。
必修のX2タイプ(2つ選べ)の出題は継続され、その他の変更はありません。
国試合格には3つの合格基準をクリアする!
国試合格のためには、領域A(総論)、領域B(各論)、必修問題の3つの合格基準をすべてクリアしなければなりません。
領域A・領域Bはそれぞれ合格発表時に合格基準が公表され、毎年異なります。一方で必修問題は絶対評価で得点率8割以上という合格基準が設定されています。
必修問題は8割以上というと高めの印象も受けますが、むずかしい問題が出題されるわけではありません。出題範囲をおさえ、ケアレスミスをなくす訓練をしていきましょう。
国試は合格基準が複数設定されているため、自分の弱点や苦手科目を的確に把握し、それを補っていくようなバランスのよい学習を意識して国試対策をすすめる必要があります。
国試本番に向けた受験時間や問題形式などへの対応は、模擬試験でコツをつかんでいきましょう。
次回はシリーズ最終回。近年の国試の出題傾向とその対策について解説します!
イラスト:limop