厚生労働省より公表された第118回歯科医師国家試験の結果から、合格率と受験者の動向を解説。
今回は新卒生・既卒生それぞれの合格率を深掘りし、国試合格に向けた対策のポイントを考えます。
現役生の国試対策は「早くから」「効率よく」!
前回、国試の合格率について解説しましたが、新卒生の合格率は118回では84.0%でした。新卒生の合格率は例年全体よりも高く、近年はおよそ80%前後で推移しています。
ですが、本当に「新卒者の合格率は8割程度」と考えてよいのでしょうか。
新卒生では、出願から受験までに人数が大きく減少しています。
私立大学生は、出願者1,675人に対して出願者は1,341人。約2割にあたる334人が国試未受験でした。
仮に、新卒者の「出願者」の合格率を算出してみると71.7%となり、公表されている「受験者」の合格率より12.3%下がります。
国試未受験者のほとんどは、いわゆる卒留生、卒試不合格者と考えられ、とくに私立大学の学生は卒試と国試の2つのハードルを越えなくてはならないことがわかります。
一方で国公立大学の学生は国試未受験となることは少ないものの、定期試験に加えて実習期間が長く続くこともあり、国試対策の時間は限られます。
これらに対応するため、現役生の国試対策は「早くから」「効率よく」ということを意識してすすめることが重要です。できるだけ早く取り掛かること、大学の講義や実習、国試対策に特化した参考書やWeb講義などを上手に使って効率よくすすめることを考えましょう。
既卒生の合格率は回を重ねるごとに下がる
では、既卒生の場合はどうでしょうか。
既卒生で注目したいのは、卒業年次(受験可能回数)による合格率です。118回では新卒者では84%だったのが、2回で62%、3回で53%、4回で39%と段階的に下がっていることがわかります。
残念ながら不合格だった場合、とにかく「早く合格する」という強い意志をもち、気持ちを切り替えて対策を行うことが大事だとわかります。
新卒生は卒試・国試という2つのハードルがあり、また実習など時間が限られるなか、いかに早くから、効率よく国試対策に手をつけられるかがポイントとなります。
一方で既卒生は、年次を経るごとに合格率が低下する傾向から、「早く合格する」という意志を強く継続できるかが重要です。
それぞれ当たり前ともいえますが、試験結果からも大事なことだとわかります。
次回は、国試の問題数や出題形式、合格基準などについて解説します!
▶ 第118回 国試結果を読み解く! ③出題形式と合格基準 119回から適用の変更点も!
イラスト:limop