今回は、アクチバトールの誘導面形成についてです!
アクチバトールによる矯正力を歯に伝えるためには、アクチバトール本体、下顎および歯が動けるようにするスペースが必要です。このスペースを設けることを誘導面形成といいます。アクチバトールはⅡ級用アクチバトールとⅢ級用アクチバトールがあり、それぞれで誘導面形成の方法が異なります。
第1回はⅡ級用アクチバトールについて解説します!
※アクチバトールの基本については、こちらの記事で紹介しています。
Ⅱ級用アクチバトール
Ⅱ級用アクチバトールは下顎劣成長の場合に使用します。
Ⅱ級用アクチバトールは構成咬合位を維持することによって下顎頭が刺激され、下顎骨の成長促進を期待することができます。また、構成咬合位から元の顎位に戻ろうとする力を使って歯を傾斜させたい場合は誘導面を形成します。
誘導面形成の目的は、
1.上顎前歯を舌側傾斜させる
2.下顎前歯を唇側傾斜させる
3.過蓋咬合を改善する
の3つがあり、症例に応じて必要な誘導面を形成します。
誘導面と作用機序について図と照らし合わせながら確認しましょう。
1.上顎前歯を舌側傾斜させる場合
構成咬合位で装着
→下顎は元の位置(後方)に戻ろうとする
→装置が後方へ動けるように上顎近心面を削合してスペースをつくる
→下顎と装置は一体となって後方へ
→誘導線が上顎前歯の唇側面にぶつかり、舌側方向の力が作用する
→上顎前歯が舌側傾斜できるように上顎前歯の口蓋部を削合してスペースをつくる
2.下顎前歯を唇側傾斜させる場合
構成咬合位で装着
→下顎は元の位置(後方)に戻ろうとする
→下顎が後方へ動けるように下顎遠心面を削合してスペースをつくる
→レジン床が下顎前歯の舌側面にぶつかり、唇側方向の力が作用する
3.過蓋咬合を改善する場合
Ⅱ級用アクチバトールは構成咬合位を維持するだけで下顎骨が前下方へ誘導されるため、過蓋咬合の改善を期待できます。さらに改善したい症例では以下のように装置を削合します。
上下顎大臼歯の咬合面を削合する
→上下顎臼歯が挺出する
→咬合挙上されることで過蓋咬合が改善する
まずはⅡ級用アクチバトールについて確認しましたが、いかがだったでしょうか?
次回はⅢ級用アクチバトールについてみていきましょう!