【暗記チェック!!】医薬品添付文書の改訂②

国試対策

前回は医薬品添付文書の記載要領の変更についてお話ししました。
今回は最近、医薬品添付文書が改訂された薬について紹介していきたいと思います。

医薬品添付文書は医薬品の安全性情報のアップデートに伴って、不定期に改訂されています。改訂される薬の数は膨大なので、全部を把握する必要はありません。
しかし、国家試験に影響しそうな歯科でもよく使う薬については、最新の内容をチェックしておくことがダイジです!

 

1.アセトアミノフェン

歯科でもよく投与する薬ですね。分類上はNSAIDsと同じ抗炎症薬ですが、医薬品添付文書上は解熱鎮痛剤となっていて「解熱薬」「鎮痛薬」という用途が基本となります。

アセトアミノフェンに対する皆さんのイメージは「妊婦や小児に比較的安全」というものでしょうか?確かにそのとおりではありますが、実は地味に「禁忌」が多い薬でした。
令和5年10月の医薬品添付文書改訂では、その「禁忌」が大幅に変わったので話題になりました。改訂前と後でどう変わったのかみてみましょう!

【表:アセトアミノフェンの医薬品添付文書(抜粋)】

  改訂前 改訂後
禁忌

・消化性潰瘍のある患者
・重篤な血液の異常のある患者
・重篤な肝障害のある患者
・重篤な腎障害のある患者
・重篤な心機能不全のある患者
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・アスピリン喘息又はその既往歴のある患者

・重篤な肝障害のある患者
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

改訂後は「禁忌」が大幅に減っているのがわかりましたか?
改訂後に「禁忌」ではなくなった内容はどうなったのでしょうか?それらはすべて「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目に注意点として記載されています。
「禁忌」が解除された理由としては
 ・海外の添付文書では「禁忌」に設定されていない
 ・成書やガイドラインにおいてアセトアミノフェンの使用が推奨されている
などがあります。

「禁忌」を解除する代わりにきちんと注意点を守って投与してね、という考え方に変わったといえるでしょう。

「禁忌」を解除されたとしても、不適切な投与を行った場合はリスクがあることに変わりありません!正しい投与ができるよう医薬品添付文書はよく読んでおきましょう!!

 

2.抗精神病薬とアドレナリン含有歯科局所麻酔薬との併用

抗精神病薬は統合失調症の治療薬などの用途がありますが、皆さんがよく知っている薬としてはクロルプロマジンハロペリドールなどがあると思います。フェノチアジン系ブチロフェノン系などという名称も聞いたことがあるかもしれません。
これらの抗精神病薬はα1受容体遮断作用を有するため、局所麻酔薬に配合されたアドレナリンとの相互作用で重篤な血圧低下を起こすことが知られています。そのため、従来の添付文書では抗精神病薬とアドレナリン含有歯科局所麻酔薬との併用は禁忌でした(併用禁忌)。

ところが、令和5年10月の医薬品添付文書改訂では、抗精神病薬とアドレナリン含有歯科局所麻酔薬の併用禁忌が削除されました。「併用禁忌」ではなく「併用注意」に格下げされています!

ただし、これには注意点があります
アドレナリン単独の製剤の場合は抗精神病薬との併用が禁忌のママです(併用禁忌)。
アドレナリン含有歯科局所麻酔薬に含まれるアドレナリンは血管内投与ではなく(局所投与)、適切に投与すれば血中濃度の急上昇は考えにくいので「併用注意」で許容する、というイメージでしょうか。

国家試験の過去問では抗精神病薬とアドレナリン含有歯科局所麻酔薬の組合せが「併用禁忌」であるという内容がありました(106A73、111B51)。
しかし、医薬品添付文書の改訂によって現在は「併用注意」に変わっているので、まちがって覚えないように気をつけましょう!

 

 

以上、医薬品添付文書に関する新しい情報を少しだけご紹介しました。
医薬品添付文書が改訂されることで、従来の過去問が解けなくなる(解なしあるいは問題不成立)こともありますが、その場合は、新しい医薬品添付文書の内容を優先してください!

法律と同じように医学も常にアップデートしていくものなので、医薬品添付文書に関しては常に新しい情報を確認する習慣をつけることをオススメします!

 

デンスタTOP

会員ログインについて

「お気に入り記事」は会員専用の機能です。
ご利用の場合は、ログインまたは新規会員登録をしてください。