KEYWORD LECTURE 和漢薬 は今回が最後になります。
第3回では、服用時の注意点と副作用(有害作用)について解説します!
漢方薬の服用方法
漢方薬は経口投与用のエキス製剤が用いられています。
医療用医薬品として処方されますが、一部の漢方薬は一般用医薬品としても販売されています。一般用医薬品の場合、安全性のため同じ名称の漢方薬でも医療用の50〜80%程度の成分量で調剤されています。
医療用、一般用どちらも服用方法は同じです。
服用方法は医薬品添付文書に記載されていますが、多くの漢方薬でもっとも好ましいのはエキス製剤を100mL程度の熱湯に溶かしたのち、人肌くらいに冷ましてから飲む方法です。
生薬を煎じた状態に近いことに加え、口腔粘膜からの吸収も計算に入れることができるため薬効が効率的に発揮されやすいです。
服用タイミングは多くの漢方薬で1日3回、食前あるいは食間となっています。
漢方薬の配合生薬は食事の影響を受けやすく、食後服用では吸収効率が低下し薬効が十分に得られにくいとされています。
漢方薬の副作用(有害作用)
漢方薬を処方する際は、患者の証に合わせた薬を選択することが重要です。
そのため効能が適切でも証(しょう)が異なる場合は不適切な処方となり、その結果もたらされる作用を誤治(ごち)といいます。
また、漢方薬の多くは一定期間の服用継続が基本となり、効果発現前には一時的な症状悪化や予期しない症状がみられることがあり、これを瞑眩(めんげん)といいます。
・処方者のミスによるもの(誤治):患者の証に合わない処方を行ったことによる有害作用
・一過性の有害作用(瞑眩):効果発現前に一時的に症状悪化などの症状が出ること
このほか生薬の含有成分に由来する有害作用もあります。
・その他の有害作用
間質性肺炎:小柴胡湯、柴朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、半夏瀉心湯、抑肝散など
医薬品と漢方薬の併用上の注意点
最後に、医薬品と漢方薬の併用で注意が必要なものを紹介します。
・NSAIDs:胃粘膜保護作用が低下するため麻黄、大黄などを含む漢方薬で胃腸障害が生じやすい
・インターフェロン製剤:小柴胡湯との併用で間質性肺炎の発症頻度が上昇する
3回にわたり和漢薬(漢方薬)について解説しましたが、いかがでしょうか。
臨床における治療の選択肢の一つとして、また、漢方薬を服用している高齢者等に適切に対応できるように、基本的な知識を身につけておきましょう。