歯科国試対策で重要な、そして避けては通れない「過去問」。せっかく膨大な時間を投資するなら、1問から得られる学びを最大化させたいものです。
シリーズ第2回では、インプットの効率を高める過去問の進め方と、知識を刻み込む振り返りの方法を徹底解説!
近年の国試傾向をふまえ、今すぐ実践できる具体策をお届けします!

今さらだけど「過去問が大事」な理由
国試対策で必ずいわれる「まずは過去問」。国試対策のスタートは過去問題集を入手すること、といっても過言ではありません。
それは国試対策を効率よく進めるためには、過去問を使った学習が有効だからです。もちろん、過去問だけをやっていれば大丈夫かというとそうとはいえない面もありますが、とくに実習や試験、マッチングなど時間が足りない現役生にとっては、過去問を解くことが合格への最短距離といえます。
過去問を解く目的には大きく以下があります。
● 問題形式に慣れる
設問文の設定や問題画像、さらに計算問題、順序問題といった出題形式を体験できる。
● 出題傾向の把握
どのような深さ・難易度なのか、どんなテーマが頻出なのかを把握でき、対策ができる。
● 必要な知識の習得
問題を解く過程で知識が定着し、応用力が身につく。
このなかで過去問を使った国試対策でとくに意識したいのが、「出題傾向の把握」、「必要な知識の習得」です。
ポイント① 解きながら周辺知識を身につけていく!
国試では例年、過去問からもう一歩踏み込んだ類題、✕選択肢からの出題がみられます。逆に考えると、同テーマでの出題はみられるものの、まったく同じ問題というのは多くはありません。
過去問を解くというと「正解してつぶしていく」と考えがちですが、重要なのは「解きながら知識を身につけていく」ことです。国試合格には過去の問題そのものでなく、プラスαの問題に解答する力が求められるので、大事なのはその問題に正解できるかだけではありません。
そのため、たとえばよくいわれる「1周目」はあまり正誤にこだわらず、解説を一つひとつ読み込んで周辺知識をしっかり身につけていくことが大事です。解けたとしても、他の選択肢を正しい理解で「違う」と判断できているか、解答にいたるまでの思考過程が正しかったか、ていねいに見ていきましょう。これにより、国試の問われ方、出題範囲・深さをつかむこともできます。
ただし、ここで気をつけたいのは、スタート時点であまり時間をかけすぎないようにすることです。とくに最初はどうしてもできていないことが気になって先に進みにくいものです。しかし国試対策でまずめざすべきは「全体を一定以上のレベルに仕上げる」ことなので、1回で完ぺきにしようとするのではなく、ある程度割りきって進めていくことも大事です。とくに「1周目」はとにかく早めに全体を見ておくことをめざし、あとは繰り返していくことで定着をはかるようにしましょう。

過去問題集「実践」ではこの国試の傾向をつかむこと、また解きながら知識を身につけることを重視し、選択肢解説と「ここ大事」などのまとめを充実させています。また、膨大な過去問からとくに知識のインプットにふさわしい問題を精選し、書籍に収載しました(ただし、傾向をつかむため、また大学の試験対策などに対応できるよう、近年10年分は全問収載としています)。
苦手科目、さらに時間不足が予想される場合には、「Must!マーク」の問題を1周目として解くといった進め方もできます。
ポイント② “関連づけ”で知識定着の効率アップ!
問題を解きながら知識をつける場合、できるだけ関連づけて効率よく学習していきたいものです。意味のある情報はより長く記憶に保持することができるといわれており、バラバラな知識の暗記より、関連づけられた知識のほうが定着しやすいといえます。
そういった意味でも、1つの問題に対して選択肢の解説を読み込むことで得られる知識は大変貴重です。また、インプットを重視する段階では、できるだけ関連するテーマをあわせて解いて知識を身につけていくのが望ましいでしょう。
「実践」は書籍では「出題テーマ」を明示して類似テーマの問題を並べることで、関連をより意識しやすい構成としています。また、各問題についている「ここ大事」などのまとめでは、関連する知識をさらに広げられるようになっています。まずは書籍で知識を関連づけながらインプットしていくのがおすすめです。
しかし一方で、類題が並んだ状態で演習を繰り返すと直面するのが、答えを別の角度から類推してしまったり、答えを覚えてしまったりすることです。いわゆる“なんとなく覚えてしまった”というパターン。
実践iPadアプリを利用するメリットの一つがシャッフル演習ができることで、特定の科目・回数をシャッフルして解くことで、知識の定着の確認が効率よくできます。
ポイント③ 「知識を定着させる」復習タイミングを知る!
国試の過去問にかぎらず、学習において大事なのは「繰り返して定着させる」ことです。
これはこれまでの受験勉強などで誰もがわかっていることだと思いますが、過去問においてはどのように取り組めばよいでしょう。
有名なドイツの心理学者エビングハウスが提唱した忘却曲線によると、時間が経つにつれて「20分後には約42%」→「1時間後には約56%」→「1日後には約74%」→「1週間後には約77%」→「1か月後には約79%」を忘れるということです。つまり、何もしないと1日後には3/4を忘れてしまうということになります。
これをふまえると、まずはその日に解いた分を最後にざっと見直すことが有効です。
その後のタイミングとしては、翌日、1週間後、1か月後に「忘れる前に思い出す」こと。といっても、かぎられた時間でタイミングよく見直し・解き直しをするというのはなかなか難しいかもしれません。
たとえば最初のインプットと当日、翌日の復習は書籍で。そして1週間後、1か月後については実践iPadアプリを利用して復習すると、書籍を何冊も持ち運ぶ必要がなくなり、少し時間がとれたときに取り組むことができます。

もちろん復習で解く際にも、各選択肢について正誤の理由をきちんと考えながら解答していくことが大事です。
答えを選択したあとはいったん立ち止まって、その根拠、✕選択肢があてはまらない理由を頭の中で自分の言葉で反芻してみましょう。実はここで能動的に思い出す行為をアクティブリコールといい、知識の定着にとても有効です。「思い出しながら繰り返し解く」ことをぜひ実践してみてください。
最後に少し横道にそれますが、アクティブリコール(能動的に頭の中で思い出す行為)のほかに、効果的な学習方法をいくつかご紹介します。これまでの受験勉強などで経験的に知っていることもあるかと思いますが、ぜひ参考にしてください!
● 視覚化
図や表にまとめたり色分けすると、記憶の手がかりになる。解剖図はもちろん、機序をチャート形式でまとめてみるなど。
● 他の人に説明する
他の人に自分の言葉で説明することで、理解が深まり記憶に残りやすくなる。ひとりごとでもOK。
● テスト・演習形式での復習
問題を出しあう、単語カードのようなものを使うなど、単に読み返すだけでなく演習することで知識が定着しやすくなる。過去問演習の繰り返しもその一つ。
次回は最終回。過去問を解き進めるにあたっての 戦略的なメリハリと、解ききるためのスケジュール について考えます!
