
今回は疫学研究で生じる問題点についてです!
皆さん、研究ってやったことありますか?研究とは今までわかっていなかった事実や真理を明らかにすることです。
日々国家試験に向けて勉強していくなかで、なぜ?どうして?と疑問に思うことはありませんか?
そういう疑問点を明らかにすることも研究の一つです!
とくに疫学研究はある集団のなかで出現する疾病や健康に関する事象とその要因を明らかにする研究のことをいいます。
研究ってどうやるの?
研究をやってみたいと思う気持ちは大事です。
では具体的にどうやって進めればいいのでしょうか。一般的な研究の流れをチャートでみてみましょう。

これで1つの研究が終了となります。
ですが残念ながら、研究過程で得られたデータにはさまざまな問題が生じてしまうんです!
どのような問題があるかというと誤差と交絡です!
誤差ってなに
誤差とは得られたデータと本当の研究の結果とのズレのことを意味します。
誤差には生じる状況によって、偶然誤差(ランダムエラー)と系統誤差(バイアス)の2つがあります。
偶然誤差(ランダムエラー)
偶然誤差(ランダムエラー)は偶然に生じるズレ、ばらつきのことです。
とくに原因が不明で「たまたまそうなった」というような誤差をいいます。
おもに対象者の選択やデータの収集の際に生じますが、これを減らすのはなかなか難しいです。なぜなら原因がよくわからないからです。
ではどうするかというと、「たまたまそうなった」という状況を減らすために対象者や標本サイズ、試行回数を増やしましょう。
たとえば、ある地域の12歳児の齲蝕有病者率を調査したいとします。10人だけ調査したら、たまたま齲蝕の多い子が集まって80%という高い値が出るかもしれません。しかし、100人、1,000人と対象者を増やしていけば、本当の齲蝕有病者率に近づいていきます。また、同じ患者さんの歯周ポケットの深さを測定する際も、1回だけでなく3回測定して平均値をとることで、測定時のわずかなブレを減らすことができます。こうすることで「たまたま」が減らせそうというのはイメージができますかね?なるべく偶然誤差を減らしたデータは信頼のおけるデータといえますので、分析や検証のソースとして使用可能です。
系統誤差(バイアス)
系統誤差(バイアス)は、データが何らかの要因である方向に偏ってしまうズレ、系統的な偏りのことです。
バイアスには生じるタイミングで大きく選択バイアスと情報バイアスの2つに分類されます。
選択バイアスは対象者を選ぶときに生じるバイアスです。
たとえば、わが国の歯周病の有病率を調査したいとき、大学病院の歯周病科を受診した患者さんだけを対象にした場合、どうしても歯周病の有病率が高くなってしまいそうですよね。これを歯周病の正式な有病者率のデータとして使用すると偏りがある(つまりバイアスが生じている)というのはイメージができるでしょうか?
データの偏りがない歯周病の有病者率を発表したいのであれば、日本全体の集団のなかから無作為に対象者を抽出することがポイントです。
無作為に抽出すれば、地域や施設によるバラつきもないことに加え、健康な人から重度の歯周病の人までさまざまな対象者が含まれそうですよね。
情報バイアスはデータを収集する時点で生じるバイアスです。
たとえば10年前の喫煙状況についてデータを収集したいときに、遠い過去の話であるため思い出が美化されて実際よりも少ない本数を吸っていたと自己申告する人がいるかもしれません。このようなバイアスはとくに想起バイアスや思い出しバイアスといいます。
他にも測定機器が壊れていた、測定者が疲れて適当な値を入力してしまった、測定者が期待する結果に無意識に影響されて測定値を読みとってしまったことなども情報バイアスに該当します。
これらの情報バイアスは、測定方法を事前にしっかりと考え測定環境を整えておくことで、影響を少なくすることができます。たとえば、医療機関の診療録をもとにデータを取得する、測定機器は定期的にメンテナンスをする、休憩を挟みながら測定者の疲れを予防する、などです。
ここまで誤差についてみていきました。
疫学研究で生じる問題点については、「NewText③衛生」の「疫学」Chapter01-08統計用語でも詳しく解説しているので、チェックしてみてください。
次回は交絡についてみていきます!
