今回は歯科疾患実態調査についてです!
最新となる令和6年の調査結果が令和7年6月に公表されました。
平成28年以降は5年ごとに行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症や各基本計画の影響もあり、令和4年、令和6年に実施となりました。
まだ発表されたばかりなので、教科書などへの反映は先になると思いますが、わが国の歯科保健の現況を把握し、未来の歯科保健医療対策につなげるうえで大事な調査データです。
重要な統計や調査に関しては最新データを題材として問われる場合がありますので、歯科疾患実態調査についても最新のデータに加え、最近2、3回分の内容はひととおり把握しておきましょう!
歯科疾患実態調査のおもな調査事項は?
調査事項は年度ごとで少しずつ異なりますが、平成28年(H28)、令和4年(R4)、令和6年(R6)の直近3回分のものは押さえておきましょう。
おもな調査事項 |
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① 歯の状況 |
② 歯肉の状況 |
③ フッ化物応用の経験 |
④ 歯をみがく頻度 |
⑤ 歯や口の状態 |
⑥ 歯や口の清掃状態 |
⑦ 歯科検診(健診)の受診状況(R4・R6で実施) |
⑧ 矯正歯科治療の経験の有無(R4・R6で実施) |
⑨ 歯列・咬合の状況(H28で実施) |
⑩ 顎関節の状況(H28で実施) |
過去と最近の調査事項の変化をチェック!
ここではH28とR4・R6で調査事項が変わった点をみていきましょう。
まずH28まで行われていた⑨歯列・咬合の状況と⑩顎関節の状況です。
H28の調査結果では「叢生のある者の割合」は約26%、「歯列に空隙のある者の割合」は約10%となっていました。また「顎関節の雑音や痛みを自覚する者の割合」は女性のほうが多いという結果がありました。これらの項目はH28まで調査され、R4以降では調査事項から削除されました。
ではR4・R6で代わりに行われた調査は何かというと、
⑦歯科検診(健診)の受診状況
⑧矯正歯科治療の経験の有無 です。
「この1年間に歯科検診(健診)を受けた者の割合」をみてみると、R4は58.0%、R6は63.8%となっていました。歯科検診(健診)の実施は口腔疾患の予防や早期発見にもつながるため、近年重要視されています。
もう一つ追加された「矯正歯科治療の経験がある者の割合」ですが、R4の調査では男性6.0%、女性9.2%、R6の調査では男性6.0%、女性10.6%となっていました。ちなみにR6では男性は15〜19歳で31.0%、女性25〜29歳で33.8%で最も高くなっていました。皆さんの周りでも矯正治療を受けている方はそれくらいかなと想像できると思います。
H28までは歯列・咬合の状況を調査し、R4以降は矯正歯科治療の経験の有無を調査する、というのは矯正治療の重要性に沿って調査事項を変更したというのが読みとれますね。
次回は調査結果の全体像をみていきましょう。