刑法は六法(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)に含まれる法律で、日本の法律制度の基本となる法律の一つです。歯科医師法のような身分法ではありませんが、歯科においても守秘義務などと関連するため重要な法律です。
令和7年は多くの法改正がありましたが、刑法の改正もあったため紹介します。
刑の種類が変わりました
令和7年(2025年)6月1日施行の刑法において、刑法における刑の種類(いわゆる刑事罰)に一部変更がありました。
具体的には従来の「懲役」と「禁錮(禁固)」が「拘禁刑」に一本化されました。
刑の種類と変更内容
以下の表で従来の刑法と改正された刑法とで刑の種類の比較をしてみましょう。
表:刑法における刑の種類
なぜ一本化されたのか?
懲役と禁錮が一本化された理由として刑事施設の実態と受刑者の特性の多様化があります。
懲役は「刑務所などの刑事施設に収容され定められた期間において肉体的・精神的な労働(これを刑務作業といいます)に従事させる刑罰」です。一方で禁錮は懲役とほぼ同じであすが刑務作業は強制されません(任意)。
しかし、実際の刑事施設において懲役と禁錮の差がなくなってきていること、受刑者の特性が時代とともに変化してきており懲役か禁錮かの2択に当てはめることが不自然となりつつあることなどが以前から課題として指摘されていました。
そこで、懲役と禁錮を拘禁刑に一本化し、受刑者の特性に応じて刑務作業の有無や更生プログラムを個別に決定してはどうか?ということになりました。
刑が適正に執行されるという意味において合理的で時代背景もふまえた改正内容といえます。受刑者の特性に合わせた更生プログラムを受けることによって再犯防止の効果を高めることも期待されています。
以上が改正内容です。
歯科国試では刑事罰そのものが解答になる問題は未出題ですが、懲役や禁錮(禁固)が選択肢になった問題は既出です(114D6、117B14)。
今回の刑法改正において、過去問の答に影響は出ませんが、今後の歯科国試において懲役と禁錮(禁固)は一本化された拘禁刑という形で出題されることが予想されます。
刑法にかぎらず法律は日々アップデートされているため、聞き慣れた法律の改正などの情報はこまめにチェックしておくことをオススメします。