歯科国試対策で重要な「過去問」。
このシリーズでは、過去問演習をより効果的にすすめるために知っておくべきポイントについて解説します。
シリーズ最終回は、国試の合格ラインを意識した過去問への取り組み方、そして過去問題集を解ききるためのスケジュールについて考えます。
国試の合格基準と“合格への必須問題”
歯科国試の合格基準は、116回より領域A、領域B、必修問題の3つで設定されています。
それぞれの合格基準を振り返ると以下のような結果でした。
116回 | 117回 | 118回 | |
領域A(総論) | 63点以上/96点(65.6%) | 60点以上/94点(63.8%) | 58点以上/97点(59.8%) |
領域B(各論) | 257点以上/373点(68.9%) | 254点以上/379点(67.0%) | 236点以上/363点(65.0%) |
必修問題 | 64点以上/80点(80.0%) | 64点以上/80点(80.0%) | 64点以上/80点(80.0%) |
※( )内は得点率。領域Bは1問3点の臨実問題を含む。
ということは、単純に考えるとこれらの基準に達するくらいの問題を正解できれば合格の可能性がぐっと高まることになります。
個人によって得意・不得意はあるにしても、得点を効率よく積み上げていくには、正答率の低い問題よりも正答率の高い問題をおさえていくのが近道といえます。逆に正答率の高い問題を落とすとむずかしい問題で正解するしかなく、苦しい戦いになる可能性が高まります。
国試合格のためには、まずは各回で正答率の高い問題=「合格への必須問題」に正解する力を身につけましょう。もちろん、過去問はあくまで過去の出題ではありますが、めざすレベルの一つの目安になるでしょう。
「実践2026」ではこの合格基準(得点)に達するために重要な問題に「Must!マーク」をつけました。これまでの国試の各領域の合格ラインをもとに、およそ正答率65%(必修問題は正答率上位65問)を目安としています。これらの問題は「解けなくてはならない問題」であるといえ、重点的に取り組むようにするとよいでしょう。
過去問は早めのスタートが大事!
重点的に取り組む問題はありますが、国試対策ということでは一定期間の過去問はすべてひととおり解いておくべきです。
繰り返しますが国試では例年、過去問からもう一歩踏み込んだ類題、✕選択肢からの出題がみられます。正答率が高くない問題についても、選択肢の用語・疾患については確認しておく必要があります。
といっても、問題数は膨大です。過去15年分を解くとして5,440問。これを仮に1日30問・週5日解くとすると、およそ9か月かかります。
実際は後半になれば学習時間を増やしたり、また必修問題や得意科目などあまり時間のかからない問題もあるかと思いますが、意外と時間はあっという間です。さらに1度解くだけでなく復習=繰り返しの時間も必要ですし、その間には試験期間や実習などもあるでしょう。いうまでもなく使える時間は有限なので、過去問はとにかく早めに解きはじめることをおすすめします。
先輩たちに聞く!「過去問をはじめる時期」
先輩たちのアンケート結果では、実際に解き始めた時期と、振り返って「解き始めたらよかったと思う時期」には大きな乖離がみられました。予定どおり進めていくのがむずかしく、早めに始めればよかったと思った人が多かったようです。
アンケート結果からは、「5年生の夏まで、できれば4年生までに解き始める。比較的スタートの遅い国立大学の学生でも5年生までにはじめるのがよい」ということがわかります。
模試のはじまる6年生の9月までをマイルストーンの一つとして、どこまでやるかという目標を決め、強い意志をもってすすめていきましょう。
「シリーズ 歯科国試カコモン攻略」では4回にわたって過去問に取り組むときに知っておきたいポイントをご紹介しました。
「実践2026」では、重点問題がひと目でわかる「Must!マーク」、繰り返し演習に最適なiPadアプリなどで、効率よく過去問に取り組めるようにサポートしています。
上手に活用して国試合格という「結果」につなげられますよう、応援しています!